こんにちは、画家の青木鮎美です。
今回は9/1に見に行った 荒井良二 絵本原画展「こどもたちはまっている」
をどのような展示方法で行ったかを、画家目線で考査したルポです。
このブログはこれから展示予定のある方や、荒井良二さんが使用している紙について
知りたい!というマニアックな方向けで進んでいきますが
展示する側の人間はこんなこと考えているのか!
なんてことも分かって、
今後多角的な目線で展示を見ることができます。
まず、現在コロナ渦の中で行われた展示会
どのような状況でギャラリー側が対応していたかも、気になるところですよね。
今回はギャラリーハウスmaya2にて展示会は行われましたが
新型コロナウィルスの影響を考慮し安心してご来廊いただくためとして、
事前予約性で1枠30分、というくくりの中行われました。
店内は殺菌スプレーを手のひらにつけることから始まります。
広さは下記の表を参考に見て下さい。
人ひとりが通り抜けできるような動線が組んでありました。
作品はおもに絵本の原画なのですが、他にも小品がたくさん販売されていました。
まずは展示の方法ですが
小品に関しては、即売会のような感じで、値段も手ごろな原画が
「クリアファイル」のようなビニールシートに入れられて展示されていました。
以前に拝見したトラネコボンボンさんの個展でも同じような展示方法で、トラネコボンボンさんの方は原画をビニールシートにも入れることなくそのまま壁に貼り付けて販売していました。
購入した友人に見せてもらったのですが、購入後はオリジナルの台紙にいれてその場で渡していました。
イラストレータさんの場合、こういった展示販売が主流なのでしょうか。
そして肝心の原画についてですが
これは驚きました。
一般的な白いパネル(厚さ3mmくらい)に原画を何らかの方法で貼り付け、上から透明なビニールシートを覆いかぶせているだけ
そして小さなビスを展示する原画の下辺に2か所あらかじめさしておいて、その上にパネルを乗っけるかたちでした。
(後ろに留め具は設置してあると思います。)
メリットは原画ごとに額を用意する必要もないし、持ち運びも楽。費用の負担も少ない。
デメリットは原画の安全面です。
次に荒井良二さんが使用していた紙ですが
絵本の原画には「アルシュ」と呼ばれるフランスの高級紙を使用していることが
原画の端っこのほうに記された刻印で分かりました。
ただ、アルシュにも紙の厚さと・細目・粗目とあり、そこまでは分かりませんでした。
ちなみに私が普段使用しているのはアルシュの細目 300g/㎡です。
300g/㎡は極厚です。
これは普段絵の上で塗ったり消したりと、紙にとってはダメージの多いことをよくやるためで、厚めの紙でないとそれに耐えられないからです。
細目は細かな表現向き
粗目は紙の表面がデコボコしているので、そういった質感も取り入れて作品を制作したい方向け
という区分がおおまかにあります。
そして私が以前このブログで説明した「水張り」ですが、どうも荒井さんは水張りを行っていないようなのです。
通常水張りを行っていたらできるはずのない紙の凹凸がありました。
印刷するときは紙を上から押さえつけるので、あまり気にしなくて良いということなのでしょうか。
たまにテレビでお見かけする絵本作家さんなんかも、いきなり紙に直で描きだしたりしているので、実際はそこまで紙がボコボコでもない限り、印刷には支障ないのかもしれないですね。
私は今後も自分の個展で何か参考になる展示方法がないかを研究していきますので、展示会に行った後はその展示方法を考査して
皆さんにもシェアしていきますね。
それでは、撮影OK、SNS発信OKの荒井良二さん「こどもたちはまっている」展示会の様子をお楽しみください。
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