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母上とハムスター

年末から年明けの頃でした。

 

私、実家のある板橋区へ里帰りしておりました。

ええっ、ええっ

そうなんです。

まだ産まれたばかりの我が家の一員、ハム吉さんももちろん連れていきました。

 

私、幼少期からずっと、ハムスターと共に暮らしたいという夢を抱いておりました。

もちろん、猫を飼っていたこともあり、その夢は実現しなかったのですが、一番の原因は私の母上にございました。

 

母上はハムスターの話が出るたびにこう言われて参りました。

 

「ネズミでしょ」

 

「昔散々見てきたわよ!タンスの中の衣類はかじるし、食べ物もかじっちゃうし。やーねぇー!」

 

そう一刀両断されて参りました。

 

多少の危険は感じていたものの、私は実家へハム吉を連れて行き、ハム散歩と称して、ハムボール(ハムスターを中に入れて運動させる器具)の中にハム吉を入れて散歩させておりました。

ハム吉は台所の方にコロコロと進んでいったわけですが

そのときです。

ハム吉が、

今進んでいた方向とは逆方向にボールの中で回転しております。

 

まさかっ!

 

そうです

いらっしゃったのです。

 

ちょうど私から死角の位置にババアが

間違えた

母上様が

 

どうやら近ずいてきたハム吉入りハムボールを蹴飛ばした模様です。

 

だんだんと年老いていく自分の母

 

大病したこともあり、昔はアンパンマンのように膨らんでいた顔も体も、今や細っそりとしております。

食べたくてもあまり食べられない体になってしまいました。

一回り小さくなられた体で

母上は仰います

「あー、太りたいわ!」

 

なんでしょう

儚さ…とでもいいましょうか

 

そういったものが微塵も彼女から感じられません。

 

それでは、

ハム吉の「そそう」を見つけた、母上の言葉でこのブログを終えたいと思います。

 

「ほらっ!ネズミのウンチと一緒!」